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短編24日の奇想天外

同級生の恋。クリスマスイブのお話です。

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1ページへ 純粋に、女子を羨ましく思う。彼は、女の子が好きだったから。
 大抵ツンとした美人を好きになっていた。しかし、毎回相手にされることはない。可哀想に、彼女たちは見る目がないのだ。
 百瀬和紀は、頭が良く、運動が出来て、地味だった。目立とうと良く葛藤していたが、成功した試しがなかった。
 地味を具体的言えば、えっちらおっちら跳ねる髪に、楕円形の眼鏡。平均身長、帰宅部。クラスの中心に立てそうで立てない奴だった。けれど、俺はそんな彼が好きだった。
 彼は女子が好きだったから、俺も女子を好きな振りしていた。百瀬が好きなものを分かりたかったからだ。当たり前だが、上手くいなかった。良さも何も分からなかった。キスしても何も思えなかったし、セックスなんか出来なかった。
 それなのに、自分がヤリチンと噂が立つのは何故だろう。前は余裕がある時、告白をOKしていた。そんなにとっかえひっかえしてるつもりはなかったし、最近なんか付き合ってもいない。
「何で俺は遊び人キャラになっているのだろう、」
「は? 繁樹って遊び人だった訳?」
 やっぱり、一番近い和紀には分からないらしい。噂なんて、仲の良くない奴が流す、ガセだからな。
 経緯を話すと、和紀はクスクスと笑った。
「笑い事じゃあない。この前なんか、一回で良いからって言われた。」
「何て断ったんだい?」
「……好きなやついるから、もうそう言うことは卒業したんだって。」
「それ、墓穴掘ってね?」
「それな。」
 一回だけ。一回で良いから。
 俺は和紀にそんなこと言えるだろうか。否。そんなの不純過ぎて、言った瞬間嫌われてしまいそうで怖い。
 もし、了承されてしまっても戸惑うだろう。何故、その一回を許すのだ。俺じゃあなくても、同じことを言ったのか。
 嫉妬深い男は嫌われる。しかし、そう思ってしまう。好きだから、自分自身も大切にしてほしい。
「和紀はクリスマスどうする?」
「どうもしないけど、なんで?」
「家族がさ、アメリカに行くから一人なんだよ。一緒に飯食いに行かね?」
「良いけど。アメリカ?」
「俺の姉ちゃん、留学してたじゃん? 就職も向こうでしてさ、彼女も作って結婚するんだって。だから、クリスマスは、家族で過ごしませんかって。」
「お姉さん流石だな、グローバルだ。」
 入江家は、一番上の兄が厳しく躾られていた。よく姉が無言で、兄の勉強している姿を見詰めていた。思えば、あれは思い詰めていたのかも知れない。自分もこの未来が待っているのか、と。
 姉は要領良く、立ち回りが上手かった。両親の期待に答えつつ、自分の自由の道を開いたのだ。姉がカミングアウトして来た時も、両親は普通に受け入れた。
 両親は厳しくするが、優しい人たちだと思う。俺が公立高校へ行くと言った時も驚いては居たが、納得してくれた。
 寧ろ、都会ではない地方では、公立の方が難しいのだが、上の二人は同じ私立高校へ行った(二人とも、留学しやすいのでそちらを選んだらしい)。
 弟の龍生も私立へ入学した。今はアメリカに交換留学生として行っている。
「てか、繁樹もついて行けばいいじゃん?」
「どうせ、春休みに結婚式あって会うんだから良いだろ。」
「そんなもん?」
「そんなもんそんなもん。」
「龍生は?」
「アイツは戻ってくる手間省けて嬉しそうだったわ。」
「ふーん。」
 本当はクリスマスもお正月の初詣も、和紀と過ごしたいだけなのだ。姉にはお見通しらしく、行かないことを伝えると、好きな子とイチャイチャしたいだけだろとツッコまれた。
 和紀とクリスマスイブに約束したが、その一日前に予定が変更になった。
 百瀬家のクリスマスパーティに呼ばれたのだ。
「え、逆に良いのかよ?」
「良い。寧ろ、和歌子が是非来てほしいって、」
 和歌子とは、和紀の妹である。和紀と同じ天然パーマだが、綺麗なストレートパーマをかけている。
「和歌子のやつ、お前のことが好きなんだよ」
「なんだお兄ちゃん焼き餅か。」
 俺がニヤニヤして言うとムッとした顔をされた。
「…泊まる準備もしてこいよ。」
「そんな顔すんなよ、からかって悪かったって。」
「イケメン様は余裕ですこと!!」

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 翌日、家にあったクリスマスケーキを持って百瀬家に行った。インターホンを鳴らすと、和歌子が出てきた。
「いらっしゃい!!」
 可愛いらしいワンピースを着ていた。
「お邪魔します。ケーキ持って来たよ。」
「うわー! ありがとう!!」
 ケーキを受け取ると、百瀬母に知らせに行った。ケーキを見て、百瀬母はのんびりと言った。
「私ここのケーキ好きなのよねぇ」
「そう言って頂けると嬉しいです。自分一人じゃあ食べきれませんから、皆さんと一緒に食べらればと思いまして、」
「繁樹くんは本当素敵ね、和紀も見習って欲しいぐらいだわ」
 百瀬家は一軒家で、四人家族だ。よく泊まりに来るが、いつも暖かく迎えくれる。百瀬父は買い出しに行ってるようだった。
 百瀬母と妹に対応していると、和紀がのっそり二階の自室から降りてきた。昨日と同じムッとした顔をする。隙を見て、和紀に耳打ちする。
「何でその顔?」
「お前、猫被りすぎ。」
 いつものことだろう。基本百瀬家では気に入られたいので良い顔をしている。
 それから、楽しいクリスマスパーティをした。相変わらず、百瀬父は明るく面白い人で、彼の話は厭きない。しかし、家族の3人は呆れた顔をしている。
「いやー、繁樹くんは反応良いから話してて楽しいな」
「鉄板を何回も話すから、お父さんの相手にしないの。」
 和歌子が教えてくれた。
 その後も映画を観たり、まるで百瀬家の一員になったような時間を過ごした。

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 和紀の部屋に一緒に引っ込んで、グダグダとする。
「お前ん家、本当楽しいよなぁ。俺も家族になったみたいだわー」
「この前、母親も繁樹くんウチに来ないかしらって言ってた。良かったな、」
「超嬉しい」
 下から和歌子の声で、お風呂だよと声がした。
「繁樹、風呂だって。」
「後で良い。お前先に入れよ。」
「オーケー、了解」
 和紀は風呂が早い。水に浸かるのが、あまり好きではないらしく烏の行水である。
 15分しない内に上がってきた。 
「上がったー、繁樹次風呂入れ」
「相変わらず、早いな。」
 タオルで頭をガシガシ拭いている和紀をじっと見る。濡れたままにしているから、クセっ毛が酷くなるのだと思う。
 風呂上がりにしては全然火照ってない。エロさはないが、犬っぽさを感じる。
「水に浸かりたくないんだよな」
「水難でもあったのかよ」
「きっと、前世に。」
 眼鏡が曇るらしく、まだしていない。眼鏡無しの和紀の顔は、いつもより幼く見える。
 和歌子に思う可愛いとは違う、可愛いを感じる。なんていうか、愛おしくなるような、そんな感じ。
「じゃあ、風呂入りますねー」
「おう。ゆっくり浸かれ。」
 まぁ、人の家でゆっくり浸かるのも悪いので普通ぐらいだ。
 和紀と違い、ドライヤーを借りてちゃんと乾かす。洗面所を出ると、和歌子が飲み物どうぞと言ってくれた。
「ウチ居心地良かったら、正月も来てくださいね!」
「それは悪いよ。」
「良いんです! 兄も喜びますし。…私も嬉しいです。」
 化粧っ毛のない顔を赤く染める。可愛いらしい。きっと、こう言う子が守ってあげたくなるタイプなのだろう。

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 部屋行くと、和紀はベッドで漫画を読みながら座っていた。床に敷かれた布団の礼を言う。
「ありがとう」
「おう。遅かったな」
「和歌子ちゃんに話し掛けられて、」
「…なんて」
「正月も来てくださいって。悪いから断ったけど、」
「居ればいいじゃん。」
 流石に長居は禁物だろう。
 俺は和紀が好きだし、好きな人とあまり近くにいると欲張りになると聞く。
「初詣は、一緒行こうぜ」
「うん」
 笑う顔にきゅんと来る。末期かもしれない。話を背けたく、下んない話を振る。
「そういやぁ、クリスマスって日本はAV視聴率上がるらしいよな」
「俺らみたいな一人身がいっぱいいるってことだろ、」
「そうだな。」
「前から思ってたんだけど、AVのキスシーンっていらなくない?」
「は?」
「あれ見てても興奮しないし。」
「お前、したことないからだろ。」
「繁樹だって、したことないだろ!」
「俺、童貞だけど彼女は居たからキスはしたこたあるよ。」
「ふーん」
 童貞なんだと呟かれる。
 なんだこれ恥ずかしいな。話を間違えた。
「それよ「じゃあ、キスして。」
「へ」
「分かれば、興奮するんだろ?」
「…和紀はそれで良いのかよ」
 ファーストキスだろとまでは言わなかった。
「繁樹、顔は良いからキスしてもいいよ。」
まじか。
「……俺、本気になっちゃうかもよ」
「なれば。」
 和紀の顔が赤く染まっている気がする。まじまじと見詰めていると、睨まれた。
「繁樹。」
「…はいはい」
 ベッドに座って壁に寄っ掛かっている和紀に横からキスする形になる。眼鏡を外して、首を傾ける。
「…目閉じろよ」
「ん」
 スッと瞼が閉じた瞬間、口を付けた。ちゅ、ちゅ、と可愛らしい音をつけてやる。
 好きな奴の唇。柔らかいが、かさついてる。荒れてるなと頭の片隅で思う。
 べろりと舐めると、和紀は慌てて目と口を開いた。
「ちょっ」
 待ってましたとばかりに、舌を差し込む。ぬるりと和紀の舌に絡ませる。和紀の家の歯みがき粉の味だ。俺もさっき使っていた。
 歯列をなぞり、舌を軽く吸った。好きな奴とのくちづけは気持ち良かった。ベッドについてた手を、彼の頬へ逃がさないように掴んだ。深く夢中になって欲しくて、よくキモチイイと言われる歯茎の裏を舌で舐める。すると、和紀の肩が思いっきり跳ねた。ビンゴ。
 和紀の手が、俺のTシャツを掴んでいた。弱々しく、がっちりと。
 漏れる声に興奮して、俺が夢中になってキスをする。頬を滑らせて、頭へと手を持っていく。もっと、していたい。
 息付いた瞬間に止めようと言われるのでは無いか。だったら、息付く瞬間を与えない。もう片方の手を身体に這わせた。逃がさない。
 和紀の腕が、Tシャツから背中へ回る。嘘だろと思って目を開けると、濡れた焦げ茶の目とばっちり合った。顔は火照って、熱に浮かされいる。エロい。軽く押すと、ベッドに雪崩れ込むように倒れた。俺は唇に一回キスすると、顎の下にキスをして、首筋に舌這わせた。
「ンッ、しげ、き」
 名前を呼ばれただけで下半身が熱くなりそうだ。首筋に鎖骨、リップ音を部屋に響かせながら、服の下に手を差し込む。
「っ! だ、だめ」
 拒絶の言葉にここまでかと、残念に思う。その反面、親友を抱かなかった事に安堵していた。
「…ごめん。」
 起き上がり、ベッドに座る。和紀も起き上がった。
 そして、手に指を絡ませてきて言った。
「これ以上したら、最後までシたくなるだろ。今は家族が居るから、明日繁樹の家でしよ?」
 湿った唇が俺に触れた。
 



end.
Merry Christmas:)

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