迷宮と僕
未設定
怪物等×僕
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1ページへ RPGでよくあるようなダンジョン。まずはそう思った。
壁や床の古びた様子から、だけではない。目の前に見えている文字。空中に表示されている文字。まるでゲームのステータス表示のように、枠に囲まれた文字がここにある。
今流行りのVRでもつけたら、こんな光景が見られるのだろうか。だけど僕はそんな物を持ってすらなく、確かに自分の目で、今これを見ている。
どうして僕はここにいるのか、ここは一体どこなのか――。
今見ている文字の意味だってわからない。
[100/100/20F]
最後のは階層を示しているのだろうけれど、最初のと次の100は何だろう?
――駄目だ。ここで考えていても、きっと何もわからない。
ここが何かの20Fだというのなら、どこかに下へ続く階段があるだろう。……本当はエレベーターに乗りたいところだけど、そんな都合の良いものがあるとは思えない。
助けを呼べたら良いのだけど、どうやら僕は、スマホも何も持っていないし。
仕方なく、僕は一歩を踏み出した。
その瞬間だった。
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[探索開始]
その四文字が空中に表示されると同時、辺り一面ピンクに染まった。
[桃色の靄]
甘い香りがする――。何の匂いなのだろう。甘いものは嫌いじゃないのに、どうしてだかこれは、嫌な感じがする。頭がくらくらする……。早く、早くどこか他の場所に行きたい。香りが強くなっていく。手で鼻と口をおおっても、指の隙間から甘い香りは入ってくるようで――。
[精神-10]
[状態異常:催淫 魔香]
表示された文字の意味はやはりわからないまま、僕は歩き続ける。
あ――。
階段だ。あそこに階段がある。下へ降りられる。ここから逃げられる。
僕は階段を降りていく。香りが遠くなっていく。
助かった……。
そう、思っていた。
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[100/90/19F 催淫 魔香(5)]
変化した文字。
階層が変わり、それから二つ目の100が10減っている。ついさっき見た文字を思い返してみるに、これはきっと精神の値――精神力?を示しているのだろう。プラスされた単語や、一つ目の100の意味はまだ不明だけれど――果たしてこれが0になったら、どうなるのだろう。
そんなことを考えていたら、僕はうっかり、それを踏んでしまった。
[思考反転の魔法陣]
床に描かれた魔法陣。僕の足はその上にある。何かの罠だと思い、離れようとした。僕の足はびくともしない。焦る僕の耳に、足音が聞こえる。
現れたものを、僕は知っている。
牛の頭に人の体。ミノタウロス。フィクションで見慣れた怪物が、僕の目の前にいる。
ただ……。
なんだあの……股間の……あの巨大なあれは……。
とにかく逃げるべきだと思って、僕はそいつから離れようと思って、僕は、ミノタウロスに、駆け寄っていった。
違う。違う。僕は逃げたいんだ。どうして――。――思考反転? まさか。僕が逃げようと思うほど。
ミノタウロスの体に僕は縋りつく。
いやだ、たすけて。
「おねがい、ひどくして」
僕の口から、僕の望んでいない言葉が発せられる。僕は自ら服を脱いでいく。こんなこと、したくないんだと思いながら。思っているからこそ。
ミノタウロスは、僕を押し倒し。足を抱え上げ。そうして。
「ああ――――っ!」
巨大なモノが、僕の中に入ってくる。苦しい。気持ち悪い。でも、痛みは少ない。……僕は同性愛者じゃあない、男に抱かれたことなんてない。こんなものなのか? こんなに簡単に挿入ってしまうものなのか?
「ぅあっ、もっと、あっ、きもちいいっ」
自分のものじゃないような自分の声を聞きながら、僕は必死に考えようとする。あの甘い香り、ピンクの靄が僕をおかしくしたのかもしれないし、このダンジョンのような場所に来た時点で、既に何かされていたのかもしれない。
怪物のモノが僕の中を激しく犯す。
逃げる方法を考えようと思うのに、巨大なモノが僕の中で暴れていて。
「あっ、――ぁっ、もっと、ひどく、あっ、いっぱい、して……っ」
ああ、いやだ、なんとかしないと。がくがくと揺さぶられる体で、びくびくと震える足で、どうにか抵抗しようと思えば、僕の口は更に酷い凌辱を求める。
どくん、と。
僕の中に、どろどろとしたものが、出されたのがわかる。
ぐちょぐちょと、水音をさせながら、巨大なモノはそれでも萎えぬまま、僕を、犯し続けて。
「あっ、――やっ、――っ! いやだっ、たすけてっ……」
頭の奥が、じんじんする……。
瞼が、重い……。
気付けば僕は、意識を手放していたのだった。
目を覚ますと、ミノタウロスの姿はどこにもなく、代わりに下へ続く階段が現れていた。
ああ、服を着て、いやその前に、中に出されたものをなんとかして、次の階層に行かなくちゃ……。
――いやだっ、たすけてっ……
自分の発した言葉が頭に浮かぶ。思考反転した筈の僕の言葉――。違う……きっと、ああそうだ、魔法陣の効果がきれたのだ……きっと……。
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[75/60/18F 魔香(4)]
出されたものをそのままになんかできなくて、でも何も持っていない状態で、頼れるのは自分の手しかなかった。おそるおそる指を自分の中に入れれば、粘り気のあるものがまとわりついてきて、それを懸命にかき出した。かき出すたび、背筋をぞくぞくしたものが襲って、それはきっと嫌悪感で、その筈で……。
手にたっぷりとついてしまった白いものは、床や壁に擦りつけてやったけれど、ぬるぬるとした感触がまだ残っているような気がする。足にも――それから中にも。実際まだ残っているのだろう。指の届かない奥の方に。
溜息を吐いて、それでも進む。今度は何があるだろう。
表示されている数値がひどく減っている。このままでは無事に脱出できないんじゃないか――そんな気がする。もうあんな目には遭いたくないけれど――。
階段を降りた場所に、幸い怪物の姿はない。それどころか、次へと続く階段が向こうに見えている。すぐに次へ行きたいところだが――。
隅の方に落ちている、フラスコと本が気になった。
何かの罠かもしれない。
しかし脱出のヒントがあの本に書かれているかもしれない。
迷ったあげく、僕はゆっくりとそれらに近付く。フラスコには何かが入っているようだ。液体と、その中に沈む――虫? それを横目に見ながら、本を手に取る。頁をめくる。日誌のようだ。
これは。
フラスコの中身について書かれたらしい記述がある。
ええと。
実験体?
寄生虫……。
体力と精神を、3Fごとに5ずつ回復……。おそらくはあの、表示された数値のことだろう。
今僕の精神力は60。75は体力を表しているんだろう。最初はどちらも100だった。このままのペースでいけば、1Fに辿りつく頃には……いや……そもそも辿りつけるのか?
寄生虫だなんて、本当なら絶対に嫌だ。でも。
このままじゃ。
フラスコを持ち上げ、僕は一息に、液体ごと寄生虫を飲みほした。
これで、良いんだろうか。
日誌には注意書があった。
他の寄生系と一緒に宿せば、回復どころか、1F進むたび体力も精神も2ずつ削られていくのだと。
――でも、二度も寄生虫を飲む気なんてどうせないから。
僕はそのまま、階段へと向かった。
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[75/60/17F 魔香(3) 寄生・癒]
まだ回復していない。多分3F進んだ後じゃないと反映されないんだろう。でも減っていないだけありがたい。
――うん?
女性が向こうから歩いてくる。ふらふらと、おぼつかない足取りで。そうか、ここに連れてこられたのは僕だけじゃなかったんだ。女の人が、もしも僕と同じ目に遭っていたとしたら――。
「あのっ、大丈夫ですか!?」
助けようと駆け寄った。
そんなことしなければ良かった。
女性が僕に飛びついて、口付ける。
突然のことに、僕が何もできずにいると、くちゅくちゅという音とともに彼女の舌が口の中をまさぐってきて――。
ぬるりとしたものが。
喉の奥へ落ちていく。
「……っ」
咄嗟に女性を引き剥がす。
今のは舌じゃない。だけど何だ。舌じゃなかったら何なんだ。
その答は。
空中に表示されていた。
女性が妖しく微笑み、去っていく。追いかけることも、逃げ出すこともできず、ただ呆然と、僕は空中の文字を眺めている。
[寄生・淫]
ついさっき読んだばかりの日誌を思い出す。回復するために、寄生虫なんてものを口にした筈だった。
遠くに階段が見える。下へ続いている。
あれを降りるだけで体力も精神力も削られる。
でも――それ以外に、ここから出る手段なんて……。
ああ、せめて休みたい。腰をおろして、休憩がしたい。でもこの階にとどまっていたら、あの女が戻ってくるかもしれない。それは嫌だった。
次の階には、もしかしたらきっと、今度こそ回復できるアイテムのようなものが、あるかもしれない。自分にそう言い聞かせて、僕は階段を降りていく。
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[73/58/16F 魔香(2) 寄生・癒&淫(5)]
床に、ナイフが落ちているのが見える。あれは?
[ヴァンパイアナイフ]
武器……にはなるだろう。このナイフで、自分の身が守れることもあるかもしれない。そう考えれば、持っておくべきとも思えるけれど――。
ヴァンパイア?
まあ、名称で大体察しがつく。持ち主の血を求めるとか、そういう系なんだろう。その分、武器としては強そうではあるけれど……。
これから何が出てくるかわからないし、武器はあった方が良いけれど……。
今、自分の体力を削られそうなアイテムを、手にする勇気が出なかった。
結局、僕はそのまま階段を探すことにした。
階段はすぐに見つかり、僕はナイフの方を一度振り返って、首をふり、階段を駆け降りた。
もしかしたら後悔することになるかもしれない、そう思いながらも、次の階を目指した。
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[71/56/15F 魔香(1) 寄生・癒&淫(4)]
ダンジョンの中だというのに目の前には木が生えていて、枝に、何かがひっかかっている。布?
近付いてよく見ると、女物の水着のようだ。
もっとよく見ると。
「うわあっ」
うねうねと動く、触手がびっしりと生えている。……というか、触手でできているのか……?
これは流石に無視するのが正解だろう。
そのまま進む。階段を見つけ、降りていく。このまま1Fまで行けると良いのだけれど。
8ページへ
[69/54/14F 寄生・癒&淫(3)]
空中の文字から、魔香が消えている。確か、文字の後の数字が少しずつ減っていたと思う。カウントダウンのように。0になると消えるのならば、あの淫というやつも同じようになるのかもしれないし、だがそう簡単にいかないのではという思いもある。
でも、消えるのでなかったらどうなるのだろう。考えてみても答は出ない。
さて、床を見れば。
少し前に見たばかりのナイフと同じものが、落ちている。
悩んで決心して降りてきた筈なのに、また同じ問いを突き付けられる。武器を持つか持たないか。向こうの方に階段がある。僕は急いでそこへ向かう。ナイフの横を素通りして。同じ問いに同じ答を出したんじゃない。さっき出した答が正解なのだと思いたくて、同じ行動をしただけだった。
9ページへ
[67/52/13F 寄生・癒&淫(2)]
壁に何か、べたりとへばりついているのが見えた。
[肉塊大盾]
これ、盾なのか。名前どおり大きな肉の塊に見えて、どうにも不気味だけれど、これで身を守れるとしたら助かる。試しに持ってみると、ずしりと重い。これを持ったまま階段を降りることに、少し不安がある。
ぬぷ。
自分の指が肉塊に潜り込んで、驚いた拍子に手を離してしまう。どすん。鈍い音を立てて落ちた盾は、ぴくりとも動かない。物なのだから当たり前だけど、今なんだか自分の指が、こいつに舐められたような気がして。
――気のせいだろう。
盾を抱え、僕は見つけた階段を降りていく。重さと、見た目さえ我慢すれば、こいつは僕を守ってくれる筈だ。
10ページへ
[64/50/12F 寄生・癒&淫(1) 呪具・肉塊大盾]
何か違和感がある。
――あれ?
僕の勘違いかもしれない。でも、やっぱり……。
体力だけが1余分に減っているように思う。
まさか盾の重さ分なのか? そうだとしたらこれは手放した方が良いのではないか。この部屋に置いていってしまおう。置いて……置けない? 手放せない? どうして。まさか一度持ったらもう駄目なのか?
後悔しかけたその時だった。
がた、がたがたがたっ。
そんな音に辺りを見回す。甲冑だ。甲冑があちこちに飾られている。それが、動き出している。幽霊か何か――ああ、あの、甲冑の隙間から見えているのは、触手だ。うねうねと動く――。
でも、僕には今盾がある。
盾の後ろに身を隠す。
盾は。
ついさっき、置こうとしても置けなかった盾は。
ぼとりと、僕の手を離れ、床に落ちた。
「――え?」
目の前に、文字が表示される。
[肉塊大盾 は 戦闘 で使用できません]
[肉塊大盾 は 危機 で使用可能です]
戦闘も、危機も、同じようなものじゃないか。
襲い来る甲冑に……触手に、僕ができることなどないのだから。
――ナイフを持っていれば助かったのかもしれない。
二度も目にしていたのに。
「うわあああ!」
触手は甲冑を離れ、僕の体に巻き付いていく。
ぬるぬるとした触手。
肌を触手がうごめくたびに、ぞくぞくとしているのは嫌悪感か、それとも。
「ぁあ、ひっ、んあっ――あ! んんっ!」
服の中に隠れていく触手を、引き剥がそうとしてもうまくいかない、一本を掴まえても他の触手が肌を這い、そもそも掴まえた一本だって僕の手を、指を、動きまわるのだ、まるで愛撫するように――。
助けて、誰か――。盾は僕を守ってはくれず、口からは喘ぎ声ばかりがもれる。違う、喘いでなんかない、感じてなんか……。
力が入らない。床にうずくまる。身体中を触手が愛撫する。びくびくと僕は震える。
「んあぁっ………、もっ、やぁっ、たすけ――あ――んっ――」
どれほど時が経った頃だろう。
触手の動きが落ち着き、でも、服の下から出てくることはなかった。
持つ気もなかったのに僕の手は役立たずの盾を掴んでいて、階段があるのも見えている。進めということなのだろう。このまま、触手に身体中を包まれたままで。
11ページへ
[59/46/11F 触手服 寄生・癒&淫(…) 呪具・肉塊大盾]
「あっ――あ――ひああぁぁ!」
何、これ、体の中で何か、ああっ、動いているような、暴れているような。苦しい。熱い。立っていられず、僕は床に崩れ落ちる。自分の体を抱きしめる。それは同時に、体にまとわりつく触手を、自分に押し付けることになる。でも、それでも、僕の手は縋るように――。
べちょり、べちょり。
何かの音を聞きながら、僕は荒く息を吐く。
「ああっ……はっ……はあっ……んっ……あ…ん……」
[50/46/11F 触手服 寄生・癒&淫(永続) 呪具・肉塊大盾]
そんな表示が、まず見えて。
「あ……いや……」
僕の背丈よりも大きいような、そんな、巨大な蛙が目の前にいた。
そいつの舌が伸びてきて、床に転がった僕は逃げることもできず。
ばくん。
あっという間に呑み込まれ、暗くねばねばするここは、蛙の口の中なのだと思う。ぬるぬるする、べとべとする、柔らかな口内で咀嚼される。
食べられる?
「嫌だっ、出せっ、ぅあっ、くっ……ぐうっ……」
蛙の口に包まれたまま、できる限りに手足を動かす。こんな所で、こんな形で、終わりたくない。嫌だ。
「やだぁっ!」
どぷっ。
吐き出された僕を受け止めたのは、大盾だった。
肉の塊の上で、ぐったりとして、去っていく蛙を見送る。体力も、精神的にも、大分消耗してしまった――。
[20/16/11F 触手服 寄生・癒&淫(永続) 呪具・肉塊大盾]
向こうの方に階段がある――。次の所では何が待っているのだろう……。
12ページへ
[15/12/10F 触手服 寄生・癒&淫(永続) 呪具・肉塊大盾]
何かが、うごめいている。
床のそれを、避けて進もうと最初は思った。だけど、表示された文字が目にとまる。
[寄生防護寄生虫]
もしかしたらあいつは、他の寄生虫を排除してくれるのかもしれない。寄生・淫とかいうやつが、消えてくれるのだとしたら。
でもこれは、口から飲もうとするには大きくて。どうすれば良いのか考え込んでいると。
「ひっ、わああっ!」
向こうから素早い動きで近付いてきて、ズボンの中に潜り込もうとする。怖い……でも……。
「くっ、う、あ……あ……ひぅ……」
足をのぼってくる虫が、お尻から……僕の中に入ってくる……。
「はっ、はっ……」
どうしてもぬぐえない、異物感。だけど、きっと、これで……。
これ、で……。
[15/12/10F 触手服 寄生・淫(永続) 呪具・肉塊大盾&寄生防護寄生虫]
「……そっち、かよ……」
消え去った癒の文字と、消えない異物感。
なんだか、疲れてしまった。ダンジョンはあと半分。もしも、1Fへ辿りつく前に、力尽きてしまったら。僕は、どうなるのかな。
盾も、自分の体も重く、ふらふらと僕は、下へ続く階段を目指す。
13ページへ
[12/9/9F 触手服 寄生・淫(永続) 呪具・肉塊大盾&寄生防護寄生虫]
そこにあったのはナイフだった。
何度も目にした、あのナイフ。
僕は迷わず、それを手に取る。
「痛っ…」
ちくりと刺されたような痛み。刃が一瞬、赤く染まったように見えた。
もう、これ以上、何かに襲われるのは嫌だ。武器さえあれば、なんとかなるかもしれない。
きっと、小さな痛みと同時にあった、軽い眩暈も……気のせいなんだ……。
こんな場所から抜け出すために、戦わなくちゃいけないんだ。
14ページへ
[7/6/8F 触手服 寄生・淫(永続) 呪具・肉塊大盾&寄生防護寄生虫]
そこの片隅に落ちていたのは、フラスコと、日誌。
ああ、もう、飲んでたまるものか。
身を滅ぼすだけだ。
だけど――どこかで回復しないと、もう……。
一桁になった数値。
次の階には。もしかしたら。何か、助けになる物が。本当に僕を回復させてくれるものが、あるかもしれない――。
そう考えるしか、なかった。
希望はもう、あの階段の向こうにしか残されていない。
……でも、そこにあるのはきっと、僕を壊してしまうものなんだ……。
そんな風にも、思えてしまう。
15ページへ
[2/3/7F 触手服 寄生・淫(永続) 呪具・肉塊大盾&寄生防護寄生虫&ヴァンパイアナイフ]
[海月重鎧]
それは、海を泳ぐクラゲのように見えた。クラゲをかたどった鎧のような――。
――ああ、逆だ。鎧のようなクラゲなんだ。だって、細い触手が動いている。
あれを身に着けたら、どうなるのかと……。
考えても、仕方がなかった。
僕の体力は、もう2しか残っていない。このまま進めば、それだけで僕は力尽きる。この鎧に、賭けるしかない。
だから僕は、鎧を手にして――。
「うぁあぁぁっ――――!」
体のあちこちを、刺される痛み。
首筋を、胸を、腹を、背を――。足の付け根を――僕のモノを。
刺された場所が、熱くなっていく。
「あっ、あっ、じんじん…する…やぁ……あつい……ん…ぁ……」
ぷつん、と。
頭の中で、何かが切れる音がする。
「き…もち、いい……あ……もっと、ひどく、して……」
[22/0/7F 触手服 寄生・淫(永続) 呪具・肉塊大盾&寄生防護寄生虫&ヴァンパイアナイフ&海月大鎧]
どうして、僕は歩いているのだっけ……。
ああそうだ、次の場所には、僕を犯してくれる誰かがいるかもしれないから……。
ちがう、ちがう、ぼくはここからにげだすために。
でも体が疼いて、もっと気持ち良くなりたくて。
ぼくはおかしくなってしまった。
階段を、一歩一歩、降りていく。次は、何があるだろう……。どんな、きもちいいものがあるんだろう……。
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[17/0/6F 触手服 寄生・淫(永続) 呪具・肉塊大盾&寄生防護寄生虫&ヴァンパイアナイフ&海月大鎧]
広い部屋だった。
美しい女性が、その中心にいた。
その周りには、いろんな虫がいっぱいいて。
僕の体が、体の内側が、じんじん疼いている、ああ、ああ――。
ぼくをきもちよくしてくれる。
[パラサイトクイーン]
「ああぁんっ! そこっ――んぁあ――――っ! もっと、――っああああ!」
きもちいい。きもちいい。ぐちゃぐちゃになる。壊れてしまう。いっぱいおかされて。舐められて、かまれて。身体中に、はいまわる、たくさんの、生き物達。
なんて。
なんて愛おしいのだろう。
「すごいっ、ひぁっ、――――ん――っ――――あぁんっ!」
頭のなかがばちばち弾ける。ぼくの中でぬるぬるするものが暴れている。キスするみたいに首筋をかまれる、乳首もかまれて、ううん、さされてる? なめられてる? なにもわかんない。とにかくきもちいい。
「――――っ! ん――! あぁあぁぁ――――っ!」
[ゲームオーバー]
あの文字はなんだろう……どうでもいいや。すごくいいきもちなんだもの。
「あんっ、んっ、もっとぉ……ひぁあ―――――っ! あ――ぁ――――んぅ――」
[コンティニュー?]
「いいっ、あっ、もっと……いっぱい、ほしい、の……」
「願いを叶えてあげましょう、可愛い子――。ここでたくさん遊んだら、最初の場所に戻りましょうね」
だれかのこえがする――。きれいなこえ――。このひとが、ぼくをこわしてくれるのかな――? いっぱい、いっぱい、ぐちゃぐちゃに……。
うれしいなあ。
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