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黒猫さんと高校生迷子

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1ページへ涼太「ここ…どこ…」

俺、春日井涼太は今年から咲良ノ高校の一年生だ。この学校は全寮制で、頭もいいやつが多いらしい。で、重要なのが、『お金持ち学校』というところだ。俺みたいな、一般庶民もいるが、大半は社長の息子だとか、元華族だとか、まぁ、そんな感じの金持ち坊っちゃんばっかで…そうなると、学校内も当然豪華。敷地面積が半端じゃない。それは寮もおんなじで…
俺は迷子になってしまったのだ。

涼太「はぁ、こんなに広いなら、地図の1つや2つ、作ってくれたっていいのに…」

そうぶつくさ言いながら歩くと、中庭のような場所に出た。色とりどりの花が咲いていて、いたるところにベンチが設置されていた。日差しは暖かで、とても気持ちがいい。

涼太「こんなところがあるんだ。」

俺は中庭の中を回ってみた。想像以上に広くて、一周するのに時間がかかった。こんなとこまで広いなんて…

中庭を一周し終わり、どうやって部屋に行くのか悩んでいると、

??「どうかしたの?」

と、陽気な声が聞こえてきた。
驚いて後ろを振り向くと、サラサラな黒髪で、少し細めな目、黒い長袖のズボンに、黒い半袖のパーカー、その中に、黄土色に近い色のノースリーブを着た、全身黒ずくめの男が立っていた。
高校生には見えない。教師だろうか…

涼太「えっと…迷子になってしまって…」

??「え!そうなの?そりゃ大変だね?」

涼太「…ええ」

??「じゃあ、僕が案内しよう!」

涼太「いいんですか?」

??「全然いいよ?」

その男の人はそう言いながらニカっと笑った。悪人には…見えないわけじゃないけど、断ったらずっと迷子な気がする。


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涼太「…じゃあ、お言葉に甘えて…」

??「よし!君の名前と、部屋の番号教えて?」

涼太「あ!そうですね、すみません…俺、春日井涼太って言います。部屋の番号は…196です。」

??「そうなんだ。ってことは新入生か?」

涼太「え?なんでそれ知って…」

??「迷子だったってこともあるけど、部屋の3桁目は、この学校は必ず、学年なんだよ。」

涼太「そうなんですか……あなたの名前を聞いていいですか?」

??「僕?僕はそうだな?。黒猫、黒猫って呼んでよ」

涼太「…は?」

『黒猫』って呼べ?中二病か何かかな…でも…黒猫っぽい。全身真っ黒だし、猫耳つけたら似合いそう……って年上に失礼だろ!俺!

涼太「……わかり…ました。じゃあ、黒猫さん」

黒猫さん「ん?」

涼太「案内…お願いします」

黒猫さん「りょーかい♪」

そう言うと黒猫さんは僕の手を引いて、迷うことなく歩いていった。
すごい…こんな広い寮の中をスタスタと進んでいけるなんて…でも、手をつなぐ意味…ないよな


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俺は、黒猫さんといろいろな話をしながら歩いていた。手を離そうとしたら、握り返されてしまって、手を繋いだままだったけど。

黒猫さんはあまり自分のことを話さなかった。話したことといえば、『自分があの中庭の手入れをしていて、教師ではない』ということだけだった。

黒猫さん「と?ちゃく!」

気がつくと、《196 春日井涼太》と書かれた部屋の前にいた。
なんで道がわかるんだろうか…

涼太「ありがとうございます。おかげで助かりました」

黒猫さん「いえいえ、どういたしまして♪」

そう言うと、黒猫さんはポケットから紙を一枚出した。…なんだろう?

黒猫さん「これ、この学校と寮の地図。僕には要らないからあげるよ」

涼太「え!いいんですか?何から何まですみません…何かお礼を…」

黒猫さん「あ?いいよいいよ。僕が好きでしたわけだし。でも…そうだな、じゃあさ、春日井くん。」

涼太「?はい」

黒猫さん「目、閉じて?」

涼太「?」

黒猫さん「そうしてくれたら、それで僕はいいんだ」

涼太「そう…ですか」

俺は不思議に感じながらも、目を閉じた。ギュッと強く閉じると、そんなに強く閉じなくてもいいよ、と優しく耳元で言われて、さっきまでの黒猫さんとは違う人のような…そんな感じがした。

黒猫さん「春日井くん」

涼太「なんですか?くろね…んん!」

黒猫さんと言おうとしたら、いきなり唇を塞がれた。目を開けると、すぐ近くに黒猫さんの顔があって。焦っていると、舌も入ってきた。

涼太「…ン…ン…ぁ…ン」

口内を舌でかき回されて、だんだん腰に力が入んなくなる。意識が朦朧とする。両手を掴まれて、後ろはドアで動けなくて。
もう…無…理…
俺は床にしゃがみこんだ。

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涼太「…ハア、ハア、ハア」

黒猫さん「大丈夫?」

涼太「大丈夫に…見えます…か」

黒猫さん「す、すみません」

黒猫さんは申し訳なさそうにした。いや、されなかったら困るけど。でもなんで?女みたいなわけでもないし、それに今まで男と付き合ったりとかしたことないし…なんで…

涼太「…なんで…こんな、事」

黒猫さん「ん?なんとなく?」

涼太「な、なんとなくって」

なんだそりゃ!

なんとなく?俺は今のがファーストキスだったんだよ!ふざけるな!黒猫さんは慣れてるのかも知んないけどな!…キス…うまかったし…
ああ苛々する。

黒猫さん「…もしかして、初めてだった?」

ムカ

涼太「初めてですよ!悪いですか?俺はまだ彼女だっていたことないですし!あなたとは違うんです!」

黒猫さん「お、落ち着いて春日井くん」

涼太「今日はありがとうございました。では!」

バタン

俺はそう言うと、部屋に入り、ドアを勢い良く閉めた。すると、当然大きな音がして…でも、そのときの俺にはそんなことを気にする余裕はなかった。

涼太「お礼しようとか考えなければ良かった。」

でも、キス…上手かったな

…は!何考えてんだ俺!明日からは普通に授業だから、準備しなくちゃだろ!もうあんな人のことは忘れるんだ!


その日、俺は黒猫さんのことを忘れるため、ものすごい勢いで部屋を片付け、学校の準備をした。


あんな奴のことなんか忘れてやる!!

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